『わし座さんのそういうところ』

第3回は、『わし座さんのそういうところ』です。

夏の夜空で、夏の大三角の一角としてまっすぐな光を放つわし座さん。高く羽ばたく鷲のように、遠くの目標を見据えながら、停滞した空気にすっと風を通してくれる星座さんです。

広い視野と、決めたら進む突破力。そして、気づけば仲間の分まで背負いかけている。そんなわし座さんらしい不器用なあたたかさをのぞいてみます。

『わし座さんのそういうところ』

わし座さんは、目の前の石ころにつまずきながらも、視線だけはなぜかずっと遠くの山頂を見ています。今ここで何をするかも大事なのですが、それ以上に「この先、どこへ飛べるか」を先に見ているような人です。周りがまだ地図を広げている段階で、わし座さんだけはもう風向きを読んでいる。早い。せめて一言くらい「行きますよ」と言ってから飛んでほしいところです。

でも、その視野の高さはやはり頼もしいものがあります。わし座さんは細かいことを全部拾ってから動くというより、全体の流れや本質をつかむのがうまい星座さんです。会議でも、話がぐるぐる回り始めたころに「結局ここですよね」と核心に近いところをさらっと指す。本人は大げさなことを言ったつもりはないのに、場の空気がふっと前を向くことがあります。停滞していたものに風穴を開けるのが、わし座さんの得意技なのかもしれません。

そして、決めたあとの勢いがまた強い。迷いに迷って、やっと一歩……ではなく、「よし」と思った瞬間に羽ばたき始めるところがあります。高いところから目標を見つけたら、そこへ向かう角度まで一気に定まる感じです。途中に多少の向かい風があっても、簡単には引き返さない。むしろ向かい風で高度を上げようとするようなところがあって、見ている側は「その根性、どこに収納していたんですか」と聞きたくなります。

ただ、わし座さんのその強さは、自分だけのために使われるものではありません。高く飛びながらも、ちゃんと仲間の位置を見ている。誰かが遅れていれば気づくし、流れから外れそうな人がいれば、さりげなく方向を示そうとする。リーダーぶるというより、空から全体を見ているからこそ、放っておけないのです。本人としては自然な気配りでも、周りからするとかなり心強い存在です。

その一方で、使命感が強くなりすぎると、わし座さんはすぐに荷物を背中へ積みます。「これは自分が見ておいたほうが早い」「ここは自分が動いたほうが確実」そう考えているうちに、気づけば両翼いっぱいに責任を抱えている。荷物の量がちょっと引っ越し前状態です。もちろん、それだけ信頼される力があるからなのですが、全部を抱えたままでは、せっかくの翼も重くなってしまいます。

わし座さんの魅力は、高く飛べることだけではありません。遠くを見ながら、今いる場所の空気も動かせること。自分の情熱で道を切り開きながら、仲間の進む方向にも光を向けられること。その大きな翼は、ただ速く進むためだけではなく、誰かが次の一歩を見つけるためにも広がっているのだと思います。高みを目指す姿が、周りの視界まで少し広げてくれる。わし座さんは、そんなふうに未来のほうから風を連れてくる星座さんです。

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